「文士が、好きだーっ!!」坂上友紀著
「文士が、好きだーっ!!」坂上友紀著
「文士」が好きな著者が「ヒェエ!」とおののいたのが、「かっこいい系」と思っている芥川龍之介が塚本文に宛てた恋文だった。
「二人きりでいつまでもいつまでも話していたい気がします。そうしてkissしてもいいでしょう」
芥川のイメージは善悪や因果応報について考えさせる「いささか教訓めいた物語を書く昔のひと」だったのだ。だが、これらの手紙を見て、「文豪」の殻が破れて「人間・芥川龍之介」が著者の前にそびえ立った。
ほかに、「風立ちぬ」を書いて「サナトリウム文学の代弁者」めいたイメージがある堀辰雄の意外な交友関係など、独自の視点から描く文学案内。 (晶文社 1870円)