拒絶のトヨエツと冗舌の羽賀研二…過熱した取材合戦の記憶
「取材には一切応じません。撮影もやめてください!」
東京都世田谷区等々力の住宅街に、あの個性的な声が響く。言葉を尽くしても、聞く耳を持たない。カメラマンは一眼レフをアスファルトに置いて、両手を上げて、後ずさりした。
トヨエツこと豊川悦司がブレークしたのは平成4年、1992年のドラマ「NIGHT HEAD」だった。94年に映画化されるなど、話題をさらい、映画版で共演した当時19歳の女優小島聖との熱愛が発覚、等々力で同棲する一戸建てを直撃したときのことである。
当時30代半ばの豊川はマスコミ取材を受けないことで知られていた。実際に相対すると、186センチの痩身を全身ピリピリさせ、肩をいからせ目を吊り上げる拒絶ぶりを見せた。
このころ同じ等々力の、駅近くには梅宮アンナと交際中の羽賀研二がビル地下に住んでいて、大きな犬を飼っていた。豊川と同年代の羽賀は直撃すると、こちらの目を真っすぐ見据えたまま、よくしゃべった。アンナとの交際はアンナパパこと梅宮辰夫が「希代の悪」と羽賀を吐き捨て、羽賀の前に立ちはだかる。アンナをめぐる男の対決もドラマのようで、渋谷区松濤の梅宮邸などには芸能マスコミが張り付いていた。