ドキュメンタリー版では人間・望月記者をもっと見たかった
本作の中に登場する森達也監督がつぶやく。彼女に関心を寄せる海外の記者がいる場でのことだ。
「質問自体が、なぜ注目を集めるのか」
「私はなぜ、(質問が話題となる)望月氏の映画を撮っているのか」
いわば、そもそも論だが、この自問自答のような視点が本作のもっとも興味深いところなのである。
菅官房長官は、彼女のまっとうな質問に対して答えることなく、ときに動揺し、はぐらかす。圧力もかける。どのような中身であれ、きちんと答えていれば、質問自体が話題になることはないようにも感じた。当たり前のことが、当たり前にできない。それは最近の「桜を見る会」問題にも通じる。映画から浮き上がってくるのは、政権側のそのいびつな形だ。
ところで、望月記者の行動スタイルで目を引いたことがある。いつも、実にファッショナブルな衣服に身を包んでいることだ。両手に多くの指輪をし、ネックレスも目立つ。ときにパンツにブーツ、カラフルなスカートをはくこともある。出張先ならともかく、官邸にもキャリーバッグを持って入っていくのには驚かされた。