東ちづるさん 仏絵本のカロリーヌに憧れて自由な冒険心を

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 当時の私はカロリーヌとは正反対。カゴの鳥というと言い過ぎかもしれませんけど、自由も冒険も、妄想の世界のことでしかなかった。縛られていたわけでもないのに、母の期待する娘でいようと、いつも顔色をうかがう。クリスマスにサンタクロースへのリクエストを聞かれ、本と答えた私に「そういうんじゃなくて」と母が言った途端、「お人形さん」と言い直してしまう子どもだったんです。

 大学進学というと、自立には絶好のタイミングでしょう。私も島を出て大阪で初めてのひとり暮らしを始めたのですが、ゴールデンウイークにはもう飛んで帰っていた。

「18年間の期待を裏切ったわねえ」――第1志望の国立大学教育学部の受験に失敗したとき、ぼそっと、そう母が呟いた言葉に深く傷つきながら、それでも共依存し続けていたんです。実人生なんてこんなものだって、諦めかけてもいた。

 でも、カロリーヌがそっと背中を押してくれていたのかもしれません。大阪で芸能活動を始め、お昼の料理番組のアシスタントをして3年という頃、やっぱり東京に行かなくちゃと思い立った。

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