「泣くロミオと怒るジュリエット」世相表すダークな純愛劇
日本映画批評家大賞を受賞した映画「焼肉ドラゴン」で監督を務めた劇作家&演出家、鄭義信の作・演出による猥雑でダークでポップな舞台。
シェークスピアの時代もそうだったようにオールメール(男優のみのキャスト)による舞台。しかも時代は戦後間もない関西の港町。カストリ焼酎を売る屋台が町に林立し、闇市のすえたニオイが漂ってきそうな在日朝鮮人らの集落という設定。
町を二分するのは戦勝国の“三国人”(台湾・朝鮮)の若者たちの愚連隊モンタギューと、ヤクザのロベルト(岡田義徳)傘下にあるキャピレット。
モンタギューの元メンバーのロミオ(桐山照史=ジャニーズWEST)は今では更生し、カストリ屋台で働いている。彼の親友はケンカっ早いマキューシオ(元木聖也)と思慮深いべンヴォーリオ(橋本淳)。それぞれ、閉塞する時代や自分の置かれた境遇に悩んでおり、ある日、憂さ晴らしに出かけたダンスホールで、ロミオは田舎から出てきたばかりのジュリエット(柄本時生)に一目惚れする。
しかしジュリエットは敵対するキャピレットのリーダーであるティボルト(高橋努)の妹だった……。