「泣くロミオと怒るジュリエット」世相表すダークな純愛劇
原作の映画版「ウエスト・サイド物語」を模したような愚連隊同士の抗争劇もあり、ロミジュリが愛を交わすバルコニーのシーンはなんと2階の物干し場。
物語の背景にあるのは戦争の後遺症。それは登場人物の体に刻まれている。ティボルトは戦争で片足を失い戦場のトラウマを抱えている。ロミオもまた自己表現が苦手な吃音という悩みを抱えている。
2つの集団の抗争は南北朝鮮の確執とも読めるし、日韓問題とも読める。原作では悲劇に終わった2人の純愛が、対立する両家を和解へと導いたが、絶望的に閉塞感を強める今の世界を映したかのように、この舞台ではおいそれと対立は解消しないばかりか、さらなる悲劇へと突き進む。3時間20分の長丁場ながら、桐山、柄本ら若者たちの疾走感が心地よく、飽きさせない。八嶋智人、段田安則、みのすけ、福田転球らベテラン勢が脇を固めた。渋谷・bunkamuraシアターコクーンで3月4日まで。
★★★