デジタル合成技術はすべて偽物、人の目を騙しているだけだ
「コッポラ監督の61年のデビュー作、『グラマー西部を荒らす』ってピンク映画もマヌケな作り方だけどオモロいよ。アメリカでVHS買ってきたから見なよ。ついでにヤツの『ディメンシャ13』ってホラーも安い作りだけど面白い」と昔は先輩から教えてもらったが、以来、人から「あれは見ないとあかんよ」と薦められる作品は皆無になった。度肝を抜かれてしばらく映画館の席を立てないものが消えてしまって久しい。
ありもしない物語をつづっただけの三文小説も氾濫中だが、映画こそそんな嘘らしいミステリー本か漫画の原作ものばかりだから、リアリズムに欠けた登場人物の二番煎じにはついていけないし、“どこにおるんだ? こんな男”“嘘だろうこんな話!”で終わるのが、今の世界中の映画たちの実情だろう。
スパイアクション物はアトラクションだし、ミステリー物はコントだし、宇宙物もおとぎ話ばかりで、体感するはずの天体空間のリアルな恐怖感などまったくない画面ばかりだ。
デジタル合成技術は何でも本物みたいに見せられるようになった。でも、キーボードを叩いて描くデジタルな流れ星も、デジタルな嵐の大海もデジタルな森もお花畑も、すべて偽物で人の目を騙している。車の窓外に流れる景色もデジタル合成画像が多い。車を運転できない俳優が増えたし、俳優事務所もやらせないからだ。ますます実写撮影がやりにくくなっている。