欧州のミステリードラマには深みがある 日本の刑事モノとはレベルが違う
日本の推理ドラマはひねりに乏しく、主役の刑事や探偵も平凡で面白みがないと口うるさい連中も、「やっぱり傑作が多いね」と高く評価するのが欧州ミステリーだ。
アガサ・クリスティの「名探偵ポワロ」(NHK・BSプレミアム)は、短躯で卵形の頭、ぴんとはね上がった大きな口髭、世界最高の頭脳を持つと自負していて、自分のことを「ポワロは」と三人称で話すなど、かなりのうぬぼれ屋である。そんな滑稽なポワロを英国俳優デビッド・スーシェは原作のイメージのままに演じたが、熊倉一雄の日本語吹き替えはそれ以上にポワロっぽかった。残念ながら11日で最終回。
「シャーロック・ホームズの冒険」(同)のホームズは、鋭い観察眼と推理力で事件を筋読みし、冷静沈着に謎を解いていく。射撃の腕は百発百中、ストラディバリのバイオリンも弾く。事件がなく退屈すると、コカインやモルヒネに走る薬物依存で、執務机の引き出しには注射器も用意されている。
「相棒」(テレビ朝日系)の杉下右京や「古畑任三郎」(フジテレビ系)もかなりの変わり者だけど、英国の名作ミステリーの主人公たちの変人ぶりは、もうそれだけでドラマになるほど魅力にあふれている。