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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

「黒井戸殺し」違和感も ドラマ化が難しいクリスティ小説

公開日: 更新日:

 14日に放送されたドラマ「黒井戸殺し」(フジテレビ系)の原作は、アガサ・クリスティの長編小説「アクロイド殺し」だ。

 のどかな郊外の村で富豪のアクロイド氏が殺害される。彼の姪が助けを求めたのが、引退してこの村で暮らす名探偵ポアロだ。使われたトリックが衝撃的で、1926年の発表当時、「フェアか、アンフェアか」という論争が起きたほどの作品である。

 三谷幸喜(写真)の脚本はポアロを勝呂(野村萬斎)、語り手のシェパード医師を柴医師(大泉洋)としながら、「ポアロ物」としての基本は外していない。また「全員が容疑者」という前提で構成されており、ネタばれも心配せずに楽しめた。

 ただ気になったことが2点ある。1つは野村萬斎のややオーバーな演技。ポアロと勝呂は別人格かもしれないが、話し方や表情を少し抑えたほうがよかったのではないか。

 もう1点は容疑者のひとり「復員兵の男」だ。このドラマの設定は昭和27年であり、さすがに兵隊服姿の復員兵が町を歩いている時代ではない。

 3月末にテレビ朝日系でも同じクリスティ原作の「パディントン発4時50分」と「大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~」が流された。しかし、どちらも「ミス・マープル」という主人公自体を大幅に変更したため、かなりの違和感があった。クリスティの小説は確かに面白いが、ドラマ化は意外と難しい。

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