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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

公立中高一貫で勝負「けんちば」渋幕逆転への課題と可能性

公開日: 更新日:

「こうした試みをどんどん実行に移せるのがわが母校の強み」と称賛するのは70年前後に千葉高に在学したOB。その一方で、残念な部分もあると話す。

 69年、大学紛争の波が高校にも押し寄せ、千葉高で4人の生徒(うち3人は他校)が図書館に立てこもるという事件が起きた。生徒会と当該の生徒たちの間で話し合いがもたれたが、そのさなかに機動隊が投入されてしまったのだ。県教育委員会の要請だった。

「学校の自治が完全に破壊された瞬間でした。生徒会の存在意義などなくなってしまったと感じた私たちは、解散することにしたんです。以来、千葉高には生徒会がない状態が続いている。潰した側の人間が言うべきことではないかもしれないが、あれから半世紀がたった今こそ、そろそろ復活すべきではないのか。自主自律をうたう以上、生徒会がないのはやはりおかしい」(OB)

■私立高無償化の余波

 いくつもの課題を抱えるけんちばだが、もうひとつ懸念材料を挙げるとしたら、私立高無償化の動き。東京都では今春から私立高の授業料の実質無償化をスタートさせる。小池百合子都知事は去る1月10日、その対象を世帯年収760万円未満から910万円未満に引き上げると表明している。そうした動きに呼応するように、都立高志望者も3年連続で減少。定員割れを起こしている都立高も少なくない。

 同様の私立高無償化が千葉県でも実施されたら、県立の地盤沈下は必至。けんちばとしても、せっかくの中高一貫化を生かすべき、さらなる着想が必要だろう。(敬称略)

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