大阪万博のずさんすぎる「防災計画」、地震・津波・台風など災害発生で来場者は孤立必至
安全に避難できる場所がない
立命館大環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)が防災計画について、こう指摘する。
「いくら『初版』だとしても、ずさんだと言わざるを得ません。震度5強~6弱という楽観的な数字ではなく、震度6弱~7を想定するべきです。夢洲から東に広がる大阪平野の西側は地盤に問題を抱えています。例えば京セラドームは、コンサートの観客のジャンプが周囲のビルに伝わるため、ジャンプ禁止になったほど。大地震が発生して運よく夢洲が無事だったとしても、会場周辺の舞洲や咲洲、さらに大阪平野は津波や液状化の被害が極めて深刻になると考えられます。つまり、来場者が無事だったとしても、安全に避難できる場所が周囲にないのです。1日あたり10万~20万人超の来場者を見込んでいますが、避難ルートは夢舞大橋か夢咲トンネルに限定されています。どちらか寸断されれば、来場者の孤立化は必至です」
心配なのは地震だけではない。
■台風や大雨による被害も懸念
「計画には、1時間あたり80ミリの降水が発生した場合、〈道路が川のようになる〉〈雨水が建物1階部分から浸水する可能性がある〉などの被害想定が指摘されています。大阪や神戸の地域的特性として、六甲山地に湿った空気がぶつかることで局所的な大雨に見舞われやすい。1時間あたり80ミリ近い大雨は決して珍しくありません。会場内の排水機能は1時間あたり60ミリとのことなので、台風や大雨による被害も懸念されます」(高橋学氏)
来場者の避難計画について、万博協会に問い合わせると「防災計画を踏まえ、具体的な検討をしている」(広報報道課)とのこと。開催期間中に災害に見舞われても「想定外」では済まされないが、不安は募るばかりだ。