ブーイングも…セレソンから消えた「フッチボウ・アルチ」

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 しかし、攻撃的なサッカーはどうしても不安定になりがちだ。次にブラジルが優勝したのは、フッチボウ・アルチを完全に放棄した94年米国大会のことだった。元日本代表監督のジーコは82年、86年大会と美しいサッカーを標榜したチームで敗れたこともあっただろう。94年大会直後に話を聞いたとき、ジーコは守備的で面白くないと激しく批判した。

「あれを近代サッカーというのかい? あんなサッカーをテレビで見ていたら、ぼくは眠ってしまうだろうね」

 とはいえ、94年のFWロマーリオには、ブラジル人が愛するアルチの薫りがあった。

 一方、今大会の前線の選手、フレジとオスカルは存在感がなく、フッキは力任せ、頼みのネイマールは腰椎骨折で今大会は出場できなくなった。コロンビア戦の後半には、母国の選手に対するブーイングが増えた。

 次は最大の強敵、ドイツ――。94年大会以上に勝つことでしか愛されないセレソンは、この壁を乗り越えることが出来るのだろうか。

文・田崎健太(ノンフィクション作家)

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