体調不安と球団内の確執 王氏「ソフトバンクと決別」の現実味
■大補強に「こんなことはしたくない」
これは体力的な問題に加え、球団との関係も影響していると言われている。王会長自身、現在の球団の方針には疑問を持っている。昨オフ、ソフトバンクは李大浩やスタンリッジ、中田ら複数の助っ人外国人やFA選手を総額30億円で獲得した。これに王会長が、「昔どこかのチームがやっていたが、本当はこんなことはしたくなかった」と漏らしていたのだ。
にもかかわらず、今オフは松坂を3年総額12億円で獲得。実際は「4年総額16億円」とも言われているように、札束で選手をかき集めるやり方は健在。王会長の嘆きも、球団方針を変えるには至らなかった。
ある球団関係者が言う。
「2年続けての大型補強だけに、王会長は松坂の獲得には慎重だった。今季は武田(21)や東浜(24)らが成長の兆しを見せており、松坂を獲得すれば彼ら若手投手のチャンスがいよいよ減る。松坂取りを指示したのは後藤オーナー代行兼球団社長。つまり、孫オーナーの意思が働いている。王会長の仕事量が減ったのは体調に加えて、少しずつ球団内での発言力をそごうという本社筋の動きもあるようです」
それでいて松坂の入団会見の際には同席させられる。工藤新監督も、「王さんに頼まれたら断れない」と監督就任を承諾したように、都合の良い時だけ顔と名前を使われているのだ。
王会長がソフトバンクと決別する日は、刻々と近づいている。