大会連覇でメディア大騒ぎも 欧州が錦織に“冷めた目”の理由
■マスターズ未勝利ではトップと認められない
では、なぜ上位3人は今大会に出場しなかったのか。それは今後の日程が深く関わっている。
男子のテニスツアーは5月3日から2週連続で高ポイントが稼げるマスターズ1000の大会(マドリード・オープン、イタリア国際)が続き、1週空けて4大大会の全仏オープンを迎える。トップ3はこうした大会で最高のパフォーマンスを出せるよう、このバルセロナ・オープンの出場を回避し、体力温存と調整に努めているのだ。
錦織は今大会を含め世界ツアーで9度優勝しているが、全て「ATP500以下」の大会だ。昨年、優勝ポイントが1000以上のマスターズ大会で惜しかったのはマドリード・オープン。決勝でナダルと対戦し、1セット目を取ったものの、腰の痛みで途中棄権した。
準決勝でジョコビッチに勝った9月の全米オープンもチャンスだったが、決勝で世界ランク16位(錦織は当時11位)のチリッチ(クロアチア)に0-3で負けた。
つまり錦織は、競馬でいえばGⅠ級レースのタイトルをまだ手にしていないのと同じ。実力を世界に認めさせるには、ビッグな大会での優勝と「トップ3」の撃破が不可欠なのである。次は5月3日開幕のマドリード・オープンに出場予定だが、全仏の優勝はマスターズ1000で優勝して初めて現実味をおびるのだ。