最多賜杯更新も 白鵬が理解できない大横綱“引き際の美学”
横綱であって、大横綱ではない。改めてそう思い知らされた、横綱白鵬(31)の言い分だった。
夏場所で37度目の優勝を果たし、自身の持つ最多優勝記録を更新。23日の一夜明け会見にも、ご機嫌な様子で会場に現れた。
白鵬は「超気持ちいい」と競泳北島のセリフをパクると、聞かれてもいないのに「実は右足の親指をケガしていた」とペラペラ。力士なら多かれ少なかれ、ケガを抱えているもの。稀勢の里も同じ箇所を痛めている。わざわざ口にするほどのことでもない。
そんな白鵬は、好角家から非難を浴びている右肘のかち上げについても言及。「横綱は勝てなければ引退だから」と、姑息な相撲の理由を勝ちへのこだわりだと話したのだ。横綱は勝って当然、負け越せば引退に追いやられる過酷な地位だ。しかし、勝つことだけが横綱と思っているならば、やはり白鵬は何も分かっていない。
相撲評論家の中澤潔氏は「これが37回も優勝した横綱の言葉かと思うと情けなくなる」と、こう続ける。
「横綱は地位にふさわしい相撲が求められる。それをして初めて、周囲から大横綱と認められるわけです。過去に大横綱と呼ばれた千代の富士や北の湖も、力の限界を口実に引退しました。限界とは横綱らしい相撲が取れなくなったからです。『勝てばいい』という相撲ならば、彼らももっと長く相撲を取れましたよ。これでは白鵬はいくら記録を伸ばそうが、大横綱ではない。優勝回数12回の双葉山と比べても、足元にも及びませんよ」