実は正統派の押し相撲 宇良は決して“曲芸力士”にあらず
相手の懐に入り込み、上からのしかかられるところを逆に足を取って後ろに反って倒す―――宇良(24)はまるでプロレスのリバース・スープレックスのような技「居反り」を引っ提げ、15年に角界入り。その身軽さは、まるで曲芸師か体操選手さながら。十両だった1月場所では、やはり珍手の「たすき反り」を決めている。
アクロバット力士と呼ばれることもある宇良だが、ある親方は「決してイロモノ力士ではない」と話す。
「確かに跳んだり跳ねたりばかりが目立つが、宇良の根底にあるのは、れっきとした押し相撲。決まり手のうち、一番多いのが押し出しですからね。どんな体勢からでも反撃できるのは、強靱な下半身の粘りがあってこそ。ただピョンピョン跳ねて勝てるほど相撲は甘くない。代名詞の居反りは幕内にいる限り、見る機会はないでしょう。それは、誰よりも本人が理解している。入門時に105キロだった体重が、5月場所では137キロ。今後はトリッキーな相撲自体が減るのではないか」
前相撲から3年で幕内に昇進し、5月場所は11勝4敗。スピード出世は木瀬部屋だからこそ、という声もある。