角界成長株の正代はディフェンス重視の“ネガティブ男”
正代を語るにあたって、欠かせないのが「ネガティブ」というキーワードだ。体格は十分、将来性が期待されている成長株にもかかわらず、どこか気の弱さが抜けきれない。
それが如実に表れたのが、2015年9月場所前の新十両会見。「対戦したい力士は?」という質問に、
「誰とも当たりたくない」
と答え、報道陣の失笑を買った。もっとも、時津風親方(元平幕時津海)にすれば“笑えない”回答もいいところ。正代の隣で「バカじゃねーの」と、ボソッとつぶやいたのも無理はなかった。
名古屋場所前も出稽古に来た横綱白鵬にコテンパンにされ、「本当に仮定の話ですけど、仮に僕が横綱になっても、(白鵬には)可愛がられるんじゃないかなあ……」と、肩を落としていた。
■「天井を向く立ち合いはやめろ」
時津風部屋の関係者は「性格の影響か、相撲ぶりも慎重です」と、こう続ける。
「まずは守りを固めてからというタイプで、自分から積極果敢に攻めるのは珍しいほど。顕著なのが、立ち合いです。多くの親方たちが『天井を向いて、胸を突き出す立ち合いはやめろ』と苦言を呈している。相手に応じて頭から突っ込むなどは、絶対にしないんです。本人も立ち合いが単調になっていることは理解しているが、『どうしても直らない』と、修正を諦めている。本人がそれだけ言うのだから、強引に直すのは逆効果でしょう。無理に直せば、どこかにしわ寄せが来かねない」