高校野球はぽっかり穴のあいた敗戦国の人々に希望を与えた。引き揚げてきた男たちの疲弊しすさんだ心を癒やし、子供たちに将来を与えた。その力が、やがてプロ野球の栄華につながっていくのだ。
74年の歳月を経て、高校野球を取り巻く環境は変わった。コロナ禍の終息は見えず、かといって不幸を嘆いていても始まらないだろう。球数制限や地方留学など、矛盾は多々ある。この禍こそ抜本的な見直しに取り組む好機だ。インターハイにしろ、総合大会は既に現場の間尺に合わない弊害を抱えている。現状維持の努力は、単なる既得権確保にすら見える。