救済基金に異議 錦織や大坂にはない全豪準V選手のプロ意識
新型コロナウイルスの勢いもようやく衰えを見せ始めた。しかし、終息の流れはつかめぬままで全面停止のスポーツ界は戸惑いを隠せない。テニスの復興が最も遅れるだろう……英国のエース、アンディ・マリーはそう案じている。
テニスは国際航空路線の発達をテコに、ロジャー・フェデラーというカリスマの出現を最大限に生かして巨大マーケットを築いてきた。
昨年の男子ツアーは史上最高の観客動員480万人を突破し、女子ツアーの賞金は総額1億3900万ドル超(約150億円=2018年実績)と男子を上回っている。
毎週のように世界各都市を転戦するだけでコロナの餌食だが、テニスは客席とコートを極力近づけ、観客との濃密な関係を売りにしてきた。モニカ・セレシュ刺傷事件(1993年)の後も変わらない究極の“3密”舞台――確かに復元までにはかなり険しい道のりになる。
ツアー繁栄の最大のツケは過剰な人材だ。ポイントを持つ男子だけで1978人、女子1340人……これら大勢がグランドスラムを頂点としたツアーのピラミッド構造を支えている。いくら何でも多過ぎると、男女各750人をメドに、昨年から構造改革に取り組んでいる。