大の里の由来はしこ名の常道 歴史に刻まれた「貴」の文字が物語る角界の盛衰
「貴」で始まる力士は3人だけに
どんなしこ名も努力とファンの支持次第で輝き、歴史に刻まれる。ただ、末永く受け継がれていくかどうかはまた別なのだと思う。春場所の番付を見ると、「貴」で始まる力士は3人だけになっていた。経緯と理由は記憶に新しい。
最近はしこ名に同じ字を使う部屋が多い。どこの部屋か分かりやすく、チーム感を出す意味もあるという。難読しこ名の系譜も阿武咲、天空海、美ノ海らに続いている。そんな中で大の里のような昔風のしこ名を聞くと、何となくほっとした気分になる。夏場所、幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏む。どんな力士に育つだろうか。
▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。