曙太郎さん死去「最新型ベンツに乗る貴乃花を見て頭に血が上り…」生前に語っていた若貴への強烈ライバル心
「あの2人がいなかったら、自分はあれほど早く横綱にはなれなかったと思う。とにかく負けたくなかった。番付は半枚でも下にはいたくない。着ているものも、乗っているクルマも負けたくない。横綱時代、貴乃花が最新型のベンツに乗って国技館に来たのを見てカーッと頭に血が上り、そのままクルマを買いに行ったこともある。当時はまだ珍しかった軍用車のハマーを買って、翌日それで乗り付けたら、あまりのデカさにみんな泡食ってました。アイツはバカかと思ったでしょうね。でも、それぐらい気持ちが入っていたんです」
負けたくないから、稽古にも力が入る。若貴が在籍する二子山部屋まで出稽古に行った時は壮絶だった。
「最近、『横綱が出稽古で20番取った』なんて記事をよく見るけど、そんなぬるい稽古はやらなかった。100番、200番は当たり前。貴乃花と2人だけで3時間近くはやってましたからね。血だらけ、砂だらけになりながら、どっちも引き下がらない。終わった時は立てなくなるぐらい疲れているんだけど、相手の部屋ではそんなしぐさは見せられない。部屋を出てから帰る途中に吐いたり、急に体の力が抜けて倒れたこともあった。それでも、あれだけ正面から受け止めてくれる相手がいると、稽古は楽しかった。アッという間に時間が過ぎるんです」
貴乃花との幕内での対戦成績は21勝21敗。ライバル対決はまったくの互角だった。