プロテクトはどう決める?裏取引は?FA甲斐拓也の“身代わり”は誰か…人的補償の舞台裏を元編成部長が明かす
オーナー含めたフロント幹部で決定
「(Aランクだった)大竹の巨人移籍の際は、広島時代の同僚だった巨人の川口一軍投手総合コーチから電話で『誰が欲しいの?』と聞かれました。電話口の向こうで原監督の『投手? 投手?』という声が聞こえましたから。原監督に『広島が欲しい選手を探って』と言われたんでしょう。盟友の川口にウソをつくわけにはいきません。『若い投手』と言って一岡竜司(33)ら数人の名前を伝えると、一岡がプロテクトから漏れていました。
正直に言ったことでだまされて、その選手がプロテクトされたリストが届く可能性もあります。阪神と巨人が希望をくんでくれたのも、お互いに気心が知れていたからでしょう。だいたいのケースは事前にある程度話し合っているため、想定外の選手が指名されてビックリ仰天というケースは珍しいと思います。当時の阪神、巨人の両球団の28人は、年俸が5億円で高いから外れているとか一切なく、オーソドックスで予想通りでした」
広島の場合、最終的に誰を指名するかを決めるのは監督ではなかったという。
「もちろん、監督に希望のポジションや選手のタイプは聞きます。ただ、現場は来年勝つための選手を指名したがります。編成は5年、10年先を見据えてチームをつくる。新井の時はオーナー、球団代表、二軍の球団部長、編成部長だった私の4人が会議をして、最終決定しました。監督は会議に入っていません。全権監督は別として、他の球団も似たような感じだと思います」(川端氏)
FA選手を抱える球団の編成担当は、オフになると、ある仕事が本格化するという。
「『FAで新井、大竹が出ます』となった瞬間、移籍の可能性がある球団のプロテクト予想リストを作りました。さらに編成部員は、阪神や巨人の二軍戦のビデオを見まくって、人的補償で誰を指名するか、こちら側の優先順位のリストも作ります。広島の場合は、オーナーにも二軍戦のビデオを見てもらった。オーナーも映像をチェックする以上、適当な選手を指名できませんからね」(川端氏)
正捕手を失ったソフトバンクが狙うのは、次代の正捕手候補で23歳の山瀬か、はたまた選手会長の大城か、あるいは若手有望株の投手か……。
水面下では、巨人がソフトバンクの関係者に電話をかけて、すり合わせをしているかもしれない。
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ところで、「甲斐拓也は巨人にとってマイナスに働きかねない」という声もある。いったいどういうことか。元バッテリーコーチで評論家の秦真司氏が悲観した「問題点」とはいったい何か。いま、巨人で何が起きているのか。
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