不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ
思えば、これまでの野球人生は1番か3番。僕には1番が合っていた。それは“余計なこと”が起こらないからだ。前の9番はたいてい投手だから、本塁打で走者一掃なんて“アクシデント”はまず起こらない。ほとんどが送りバントか三振のため、集中力を保ちやすかった。
2年目の岡田監督には、5番として走者をかえす勝負強い打撃が求められた。期待に応えようと、コツコツとヒットを打って6月ごろまで打率は3割超え。しかし、5番として最も重要な打点が増えてこない。その時、気が付いた。打率を追いかけると打点が増えないことを……。
僕は6月から打率を捨てることにした。つまり、安打狙いの基本に忠実な打ち方ではなく、本塁打狙いのスイングに変えたのだ。本塁打王を狙うためではない。打点を増やすために本塁打を狙うのである。僕はホームランバッターではないが、打席で本塁打を狙った結果、この年の成績はどうなったか──。