伊集院光の「至言」リスナーの困惑を真っすぐ肯定、スマホの向こうに後光が見えた
ぼくは正真正銘のラジオ世代。マイクに向かってから30年ほどだが、リスナー歴となると半世紀近い。好んで聴くのは自分が関わる音楽系ではなく、トーク主体の番組。達者なおしゃべりを求めて、スマホアプリ「radiko」で地方のラジオを聴くこともしばしばだ。
同世代でナンバーワンのラジオDJと信じて疑わないのが、伊集院光さん。1995年、ラップトリオ「ファットマンブラザーズ」を結成した彼を、自分の番組のゲストに招いた。
楽曲を聴いて伊集院さんを真性ヒップホップ好きと見込んでのことだが、大いなる勘違いだったのは番組が始まってすぐにわかった。彼はあくまでしゃべりのプロとして、ラップという新しい言語表現を楽しんでいただけ。音楽のプロのぼくが過信してしまうほど、彼のラップ技術は水際立っていた。
そんな伊集院光のキャリアの始まりが、6代目三遊亭円楽門下の落語家であることは今ではよく知られている。今年初頭に円楽さんが脳梗塞で入院して以来、全国ネットの5分間ラジオ番組「三遊亭円楽のおたよりください!」を代演(一時期復帰した師匠のアシスタントとしての出演も)で支え続ける伊集院さん。