AD時代はダメ社員だった 「そして父になる」是枝裕和監督

公開日: 更新日:

 テレビマンユニオンは変わった会社で、1年目だけ給料制、2年目以降は出来高制という人事システムだった。そこで大抵は皆ADの仕事を続けるが、是枝は「こんなくだらない仕事を」と断ってしまった。そんな理由で3カ月の「出社拒否」を3回繰り返し、社内でも干されるダメ社員だった。

<家族へのこだわり>

 是枝作品を見ていると、主人公の父や母が重要な役割を担っていることが多い。そのほとんどが、実際の父や母を投影したものといわれる。たとえば、「歩いても 歩いても」で樹木希林演じた母親のセリフには、作品の直前に亡くなった母の言葉がちりばめられている。連続ドラマ「ゴーイングマイホーム」に登場する放蕩(ほうとう)な父親も実際の父親をモデルにしたといわれる。

<両親>

 では、実際の両親はどんな人たちだったか。父親は敗戦を牡丹江で迎え、3年間シベリアで強制労働を経験している。そこで、人生観が変わったのか、ほとんど家に寄りつくことはなかったという。一応、化学薬品会社で働いていたが、給料をもらうと、そのままドロン。2週間帰ってこないこともしょっちゅうで、2000年に亡くなるまで息子との会話らしい会話は皆無。そのため、父に代わって一家を支えた母親は05年に亡くなるまで、働きづめの毎日だったという。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド