「昭和ジャズ喫茶伝説」平岡正明著
「昭和ジャズ喫茶伝説」平岡正明著
「ジャズは、ジャズ喫茶で聴くものだ」と語った、今は亡き評論家の音楽エッセー。当時活況を示していた1960年代から70年代のジャズ喫茶の思い出に、その店で聴いた印象的なレコードと自らの人生を重ねて語る。
「イントロ」と題された冒頭の章は、ニューオーリンズ的雰囲気を醸していた横浜中華街の一角にあった「ミントンハウス」でディジー・ガレスピーのアルバム「サムシングオールド1945、サムシングニュー1963」を聴きながら、ガレスピーと自分にとっての1963年を回顧。さらに1年前の62年に小田原の純喫茶「ジャルダン」の独特のステレオシステムで聴いたマックス・ローチとクリフォード・ブラウンによる「デリラ」の陶酔感など。
以降、新宿の汀をはじめ、都内の名店がずらり。 (筑摩書房 1100円)