真木よう子“W受賞”で火がついた 尾野真千子の「女の戦い」
この日は衣装も対照的。上下黒のスーツでマニッシュなスタイルで登場した真木に対し、尾野は胸元と背中にスリットの入ったセクシーな白いロングドレスで登場。笑顔の真木とは白黒くっきり決着をつけられ無冠に終わった尾野の心境たるや……である。
映画批評家の前田有一氏が言う。
「容姿は似つかぬ2人ですが、ともに濡れ場シーンに挑んでおり、並々ならぬ女優魂の持ち主です。今回、真木さんに軍配が上がったのは、『さよなら――』が名実ともに“真木よう子の映画”として大きなインパクトを与えたということ。気迫と覚悟を強く感じさせ、『ベロニカは死ぬことにした』(06年)以来となる彼女の代表作と印象付けたことが大きかったのでは。無名塾出身。たしかな演技力は他の女優の追随を許さない。しかし、今回は一歩譲ったとはいえ、尾野さんは鬼才・河瀬直美監督の秘蔵っ子。すでに国内外で高い評価を得ている女優です。2人とも間違いなくこれからの日本映画界を引っ張る存在。今回の結果は互いのライバル心に火をつけたことでしょう」
平成を代表する2大女優のバトル。ゴングは鳴ったばかりだ。