満島ひかりが好演 「トットてれび」が伝える時代の熱気
よく思いついたものだ。若き日の黒柳徹子さんを、満島ひかり(30)に演じさせようだなんて。
ドラマ「トットてれび」の舞台はテレビ草創期。日本のテレビ放送開始は昭和28年だが、黒柳さんはNHKの専属女優第1号だった。昭和30年代の子どもである私も、その活躍ぶりはよく覚えている。「ブーフーウー」「チロリン村とくるみの木」「一丁目一番地」「若い季節」「夢であいましょう」、それに「魔法のじゅうたん」の司会もそうだ。
当時はドラマも含めてすべてが生放送だった。どんなにリハーサルを重ねても、本番で出演者がセリフを飛ばす(忘れる)ことや、スタッフの見切れ(画面に映る)なんて日常茶飯事だった。このドラマのナレーターである小泉今日子が言う通り、「ムチャクチャだけど熱い日々」だったのだ。
生きた黒柳さんが憑依(ひょうい)したような満島のハイテンション演技はもちろん、ドラマで蘇る今は亡きスターたちも見ものだ。森繁久弥(吉田鋼太郎)、渥美清(中村獅童)、沢村貞子(岸本加世子)らが“成りきり”で競い合う。22歳の黒柳さんが接した森繁は「近所のちょっとエッチなおじさん」という印象。接した女性全部に(黒柳さんにも)、「ね、一回どう?」とコナをかける様子が笑える。
黒柳さんの自分史は、そのままテレビの歴史と重なる。全7回で終わりじゃモッタイナイ。