「昼のセント酒」 原作大胆アレンジは地道なロケハン成果
テレビ東京系で放送中のドラマ「昼のセント酒」をご存じだろうか。
「セント酒」とは銭湯に入った後で飲む、罰あたりのようなうまい酒のことだ。このドラマの主人公は小さな広告会社に勤める営業マン・内海(戸次重幸)。売り上げがイマイチであることは気になるものの、外回りで訪れた町で銭湯を見つけると入らずにはいられないし、風呂上がりには一杯やらずにいられない。
銭湯では、戸次が本当にスッポンポンで入浴する。これほど男のナマ尻を見せられるドラマも珍しいだろう。いや、ボカシなど一切ない。裸で歩き回る戸次の度胸は見上げたものだが、その股間を風呂桶や飾ってある花で隠し続けるカメラも名人芸である。さらに、「こら! 銭湯の中で騒ぐんじゃない!」と、やんちゃな子供を叱る近所のオヤジの存在もうれしい。
原作は「孤独のグルメ」で知られる久住昌之のエッセー集。毎回、実在の銭湯や店が登場するが、実は単純に原作をなぞっているだけではない。
たとえば北千住の場合、原作では「大黒湯」から居酒屋「ほり川」に向かったが、番組は「タカラ湯」と「東光」のチャーハンを取り上げた。また、原作の銀座編は「金春(こんぱる)湯」とそば「よし田」の組み合わせだったが、番組では金春湯は同じでも、新橋のやきとん「まこちゃん」まで歩いて、シロとカシラを味わっていた。地道なロケハンの成果だ。
カバンにタオルをしのばせ、行ってみたくなる。