芸人の“あるべき論”と無縁 ブルゾンちえみの「待つ」才能
マツコ・デラックスは、「おもしろ荘」の予告で一瞬映ったブルゾンを見てブレークを確信したという。そして、その芸人として特異な振る舞いに驚いた。それは彼女が何かコメントを振られた時だ。普通、芸人ならば少しでも面白いことを言おうとする。だが、彼女は違う。
「この人さ、ウケも何にも考えないでさ、普通にコメントするのよ。堂々と“ブルゾンちえみとしての感想です”っていう感想を、ウケ狙いも考えずに堂々としゃべるのよ。大物ではあると思う」(日本テレビ「しゃべくり007」17年11月6日)
そう。ブルゾンは「芸人はこうあるべき」というような固定観念とは無縁のところで生きているのだ。本人も「私のネタは面白いんじゃないんです。気持ちいいんです」(「朝日新聞」17年4月8日)と語り、芸人などの肩書にとらわれないエンターテイナーを目指すと公言している。
そういう柔軟性があるからこそ、ブルゾンにマラソンをやらせたらどうだろう、ドラマで演じさせたらどうなるだろう、と作り手が寄ってきて彼女の魅力を引き出してくれるのだ。
彼女の恋愛指南ネタに「花は自分からミツバチを探しに行きますか? 探さない。待つの」というのがあるが、それは恋愛だけではない。ブルゾンの芸人、いや、エンターテイナーとしてのスタンスでもあるのだ。