M-1舌禍事件の“主犯”とろ久保田は泥水をすすり続けていた
芸人としての収入が足りず、久保田は生活のためにリヤカーを引いて石焼き芋を売ったり、知り合いのホステスの犬の散歩をして日銭を稼いでいた。妻の財布からこっそりお金を抜いて警察を呼ばれたこともあった。
そんな妻とは上京後に離婚することになり、精神的に極限まで追い詰められた久保田は「東京は『頭が狂う』と書いて『頭狂』です」という言葉を残すほどだった。
「M―1」では「結成15年以内」という出場資格が定められている。2002年に結成したとろサーモンにとって、2017年の「M―1」は正真正銘のラストチャンスだった。
決勝進出が決まった直後のインタビューの際、久保田は興奮冷めやらぬ様子で「神様がいた! 神様がいた!」と何度もつぶやいていた。
久保田の言う通り、神様はいた。その後、決勝戦の激闘を制して、とろサーモンは王者となった。業界内で誰もが認める才能を持ちながら、運に見放され、泥水をすすり続けた2人が、最後の最後に栄冠に輝いた。優勝の後、久保田はツイッターでこんな言葉を残していた。
「これは汗と血の代価で成し遂げた偉大なる勝利です」
久保田には、優勝までに流してきた汗と血のことを改めて思い出し、舌禍事件を真摯に反省してもらいたいものだ。