「TATTOO[刺青]あり」環境のせいか、それとも殺人鬼か

公開日: 更新日:

 実際の事件はご存じの通り。犯人の梅川は警官と行員の計4人を射殺、女性行員を全裸にして「肉の盾」とした。「『ソドムの市』って映画を知っとるか?」と言って男性行員の耳を切断させる。これほど猟奇じみた人質事件はその後、起きていない。女性行員が毛布を身にまとって解放されたニュース映像が思い出される。

 明夫は散髪や買い物で釣り銭を受け取らず、帰省のときは高価な土産物を配るなど見えを張りたがるタイプ。母親に溺愛され、母を「お母ちゃん」と慕うマザコン男だ。その揚げ句「30歳までに」と自分をせき立てる。大人になりきれない凶暴な男が幼稚な発想で生き急ぎ、そして死に急いだ。

 本作を見るたびに思うことがある。梅川がもし違う環境で育っていたら、まともな社会人になっていただろうか、それとも彼は生まれたときから人殺しと残酷を楽しむ悪魔だったのかという疑問だ。昨今の無差別殺人犯もしかり。その答えは神のみぞ知るということか。

(森田健司/日刊ゲンダイ)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”