テレ東の番組で司会の山城新伍とつかみ合いの喧嘩になって
ビートたけしは俺より1つ年下なんだけど、芸歴は俺のほうがずっと長いから、俺のことを「兄さん」と呼んでくれる。
その時俺がやってた「青春コンビ」のネタは、鼻でたばこを吸って口からプハーッと煙を出して、「いけねえ、日本人だからもう1本」なんて、今度は両方の鼻で同時にたばこを吸ったりするやつでさ。それから、柔軟体操だなんていって、客席の椅子の上を跳び回ったりするネタさ。客イジリなんてレベルのもんじゃないよ(笑い)。
会場はバカ受けなんだけど、後にたけしはラジオで「受けてるって噂を聞いて見に行ったら、ムチャクチャでさ。あんなの劇場でやるネタじゃないよ。それで俺はこれ以上のことができるだろって自信がついたんだ」なんてしゃべってた。だから俺はつまり、たけしの師匠なんだな。反面教師だけど(笑い)。もちろん彼の本当の師匠は、フランス座の深見千三郎さんだけどな。
今は世界の北野武だけど、もともとツービートになる前のたけしは無口で暗い感じでさ。フランス座のエレベーターボーイをやりながら、1階でお客を待っている間に、深見さんに習ったタップダンスを黙々と練習していたよ。それから、そば屋でもどこでも、いつも古本屋で買った文庫本をジーッと読んでるんだ。勉強家だったんだろうね。