「肺高血圧症」は心臓の問題が原因になっているケースがある
今年2月、プロ野球・東京ヤクルトスワローズの名物マスコット「つば九郎」の担当スタッフが、「肺高血圧症」で亡くなったという突然の訃報が伝えられました。
肺高血圧症とは、心臓から肺に血液を送る肺動脈の血液の流れが悪くなり、肺動脈の血圧=肺動脈圧が高くなる病気です。全身に供給される酸素量が不足し、心臓に大きな負担がかかって、息切れ、だるさ、足のむくみ、失神といった症状が現れるようになります。肺高血圧症が疑われる症状があり、右心カテーテル検査を行って平均肺動脈圧が25㎜Hg以上の場合に肺高血圧症と診断されます。そのまま治療せずに放置すると、命を落とす危険がある病気です。
肺高血圧症の原因はいくつもあり、臨床上では大きく5つに分類されています。①肺動脈性肺高血圧症、②左心系(主に左心室)心疾患に伴う肺高血圧症、③肺疾患や低酸素血症による肺高血圧症、④慢性血栓塞栓性肺高血圧症、⑤原因不明の複合的要因による肺高血圧症という5つです。肺に問題がある場合も、心臓に問題がある場合もありますが、いずれも血管が狭くなることで肺動脈圧が上がっていき、一般的に成人では生活習慣病関連疾患が原因になっているケースが圧倒的に多いといえます。もともと心臓に病気がなかった人が成人になって肺高血圧と診断された場合は、ほとんどが慢性心不全、もしくはその予備群だと考えていいでしょう。