大阪・福島「花くじら」には若い人たちがずらり「梅田の方は高い店ばかりでよう行かん」
1970年の大阪万博で唯一記憶に残っているのは太陽の塔と月の石。半世紀以上前、昭和は東京オリンピックから大阪万博と連打して高度成長時代に突入した。さて、同じように連打したものの、どんな未来が待っているのやら……不安を隠せない令和であります。
それはさておき、実はこのコラムで大阪を取り上げたことがなかったことに気が付き、それはいかん! 盛り上がっている(ホント?)大阪に行かねばということで新幹線に飛び乗った還暦男であります。
大阪に着くと、そこかしこにあのグロテスクなキャラクター。ま、アタシの目的はそっちじゃないので関係ないですが。今回、何としても行ってみたかったのはおでんの名店「花くじら」。コロナ前に行ったら大行列でどうにもならなかった。今回はリベンジ。中之島の淀川沿いをぷらぷら歩きながら目的地を目指す。
川沿いには近代的な巨大ビルが立ち並び、あのキャラクターにもよく出くわす。橋を渡り、福島駅方面に向かうと雰囲気は一変する。酒肴の香りが漂う脇道に入ると、目の前は花くじら。お! 今夜は3組しか並んでないぞ。速足に列の後ろへ。並ぶのが嫌いな大阪人がこうやって並ぶのだから、この店は間違いない。数分で店長の高山さんが案内してくれた。店名の「花くじら」は「さらし鯨のことです」と高山店長。おでんの大鍋の前のカウンター席だ。
大きなカウンターは15、16人ほどが座れ、奥行きがあるからゆったりできる。
まずは生ビール(300円)。まっとうなジョッキにキンキンの生ビールが300円! おでん種のメニューに値段が書いてないが、ほとんどが100円程度だろう。
さて、牛すじと大根と名物のチーズロールキャベツ(写真)から。熱々のだしシミシミの大根をバクリ。ぐしゃじゅわ。ビールぐびり。トロトロの牛すじをツルり(串から抜く音)くにゅくにゅ。そこにビールぐびり。サイコ~。え! 何言ってるかわからないって? そこは感じ取ってくださいよ。こうなったら一気にいこう。豆腐、ひらてん、ひろうす(がんも)、湯葉、たけのこ。そこに松竹梅の熱燗を2合(600円=写真下)。これがまたいい。分厚い真鍮のちろりになみなみと酒を注いで酒燗器へ。これまた分厚く、どっしりした真鍮のおちょこにタップリ注いでグイとやる。うまい! ようやく周囲を見渡せる余裕ができた。圧倒的に若い男女が中心だ。