生意気な変化球を投げる 若林正恭“元3軍エース”の覚悟
「そんときには、はらわた煮えくり返って、ラジオで斜に構えて、とんがるのよ。『そういう人いらない』みたいな。でも、言えば言うほど『きゃー』ってなって、もう無敵なのよ」(テレビ東京「あちこちオードリー~春日の店あいてますよ?~」20年5月26日)
芸人をアイドル的に扱う雑誌で可愛いトラのかぶり物をするように指示され、「心の中に強烈なブレーキ音が聞こえ」(ニッポン放送「オードリーのオールナイトニッポン」09年11月28日)、ギリギリの抵抗で浅めにかぶった写真を撮ったりもした。自意識とのはざまで迷い続けていたのだ。
そうしたブーム中では、どれだけ「大振り」しても受け入れてもらえる。だが、数年経ち、旬の時期が過ぎると「凄い地味な戦い方の4年間」(「あちこちオードリー」20年5月12日)がやってきたという。
その頃は現場も期待していないから「ホームラン」を打つことができない。「バット短くもって、1個1個確実に」(同前)やってきたという。その時々に置かれた立場で悩み抜いた若林は今、円熟の時期を迎えている。