「栄冠は君に輝く」熱唱 久志モデル伊藤久男の数奇な人生
最初のうちはなかなかヒット曲に恵まれなかった伊藤の転機となったのは、古関が作曲した「露営の歌」との出会いだった。「勝って来るぞと勇ましく」と始まる同曲は大きな反響を呼んだ。その後も伊藤は古関とのコンビで「暁に祈る」や「海の進軍」など、戦時歌謡を次々に発表してい
った。
■「露営の歌」など戦時歌謡を次々と…
しかし戦争が終わると、自身の歌が兵士を戦場に送り出したという悔恨から、家に引きこもり、酒を浴びる日々が続いた。「伊藤久男は終わった」との声が業界内でもささやかれだしていたころ、古関とのコンビで再起を果たす。終戦4年目に古関が作曲した高校野球大会歌「栄冠は君に輝く」を熱唱。続けて、同じく古関作品の「イヨマンテの夜」を発表し、完全復活を遂げた。
演じる山崎と同様、伊藤もたいへんなハンサムだった。ドラマでは山崎がウインクするだけで、女学生たちが卒倒する様子が描かれているが、実際の伊藤も相当なモテ男だったらしい。全国どこに行っても、女性たちの黄色い声が上がったという。