大月みやこさん 落第生と気づかされた「女の港」の出合い

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 私はというと、予選を受けて一回も受からなかった。それで大学に進学するかとか、歌謡学校もやめようかと迷っていたんですね。そんな時に大阪のキングレコードが歌がうまい新人を探しているという話があって、学校が歌を吹き込んだテープを東京のキングに送ったんです。それを聴いてキングが何人かテストしたいという中に私も選ばれました。どうせ受からないし、歌をやめるキッカケになると思って、オーディションを受けることにしました。

 1964(昭和39)年の春のことです。東海道新幹線が10月1日に開業、五輪の開催は10月10日から。大阪との間は特急で6時間くらいかかっていたのが4時間に短縮され、東京はどこも工事、工事でものすごい勢いで変化して活気にあふれていた。一度東京を見ておくだけでもいいかなと気楽に考えて上京しました。

 ところが、受けてみたら「才能があるし、東京に出てきませんか」と言われ、意外でした。でも親は歌手になるのに反対で、私自身も積極的に歌手になるつもりはなかったのですが、大阪に戻ったら「いつ出てこれますか」と何度も電話がかかってきました。

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