大月みやこさん 落第生と気づかされた「女の港」の出合い
上京したら、もう曲ができていました。デビューも6月20日に決まってとんとん拍子。歌手になるって割と簡単だなと生意気にも思いました。
■星野哲郎さんと船村徹さんからの注文は…
所属はキングの中の芸能部。すぐにキングのスターの三橋さん、春日八郎さん、ペギー葉山さん、江利チエミさん、岸洋子さんにお会いすることもできました。当時はレコード会社が制作する歌番組があった時代で、新人歌手として歌うこともできました。でも、三橋さん、春日さんにお願いして地方巡業について回って、前座で歌わせてもらいました。新人なのにお客さまから拍手をもらえてこんなに楽しくて幸せなことはない。なおかつステージの袖からスターの生の声を聴くこともできる。そんな日々が12、13年続きました。
当時は歌番曲全盛。歌手はテレビに出て何十万枚のヒット曲を出す華やかな時代です。でも、私はとても充実していて売れたいとか、何万枚のヒットを飛ばしたいとか考えたこともなかったし、人を羨ましいと思ったこともなかった。