著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<2>「ミスター平凡」の称号を手に入れ“演歌歌手の決定版”として期待を集める

公開日: 更新日:

 この頃、コロムビア専属作曲家の上原げんとの門下生だった16歳の松山まさるがコロムビアの主催するコンクールにエントリーしたのは、ごく自然なことだったのだろう。立場的に一般参加の素人より有利だったのは言うにたがわず、師・上原げんとの推薦もあったはずだ。そうでなくてもこの時期、ヒット曲を連発していた上原げんとはコロムビアにとってなくてはならない存在だった。その配慮は当然あったに違いない。

 コンクールに出場した松山まさるは順調に予選を勝ち進み、日比谷公会堂での決戦大会に出場。そこでも難なく勝ち抜き、この年の「コロムビア全国歌謡コンクール」を制した。「ミス平凡」の東ひかりと並んで「ミスター平凡」の称号を手にしたのだ。記事は次のように紹介している。

《青山和子・都はるみさんたちを追って 歌う「ミス・ミスター平凡デビュー」(中略)

「歌うミスター平凡」の松山まさるさんは、コロムビアが演歌調の歌手の決定版として、もっとも期待している歌手です。げんざい明大付属中野高校に在学中で、歌は上原げんと先生について勉強していました。「これからは、歌と学校でたいへんでしょうけど、やるからには立派な歌手になりたいです。大先輩の村田英雄さんを目標に歌いまくりたいです」と、演歌調で勝負する松山さんは、ハリキっていました》(「月刊平凡」65年7月号)

 そして65年5月、「新宿駅から」(作詞・古野哲也、作曲・上原げんと)で念願のデビュー。スターの座は目前まで来ていた。誰もがそう思った。しかし2カ月後、松山まさるの運命は急変するのである。=つづく

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    眞子さん極秘出産で小室圭さんついにパパに…秋篠宮ご夫妻に初孫誕生で注目される「第一子の性別」

  3. 3

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  1. 6

    芳根京子“1人勝ち”ムード…昭和新婚ラブコメ『めおと日和』大絶賛の裏に芸能界スキャンダル続きへのウンザリ感

  2. 7

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  3. 8

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  2. 2

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

  3. 3

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  1. 6

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  2. 7

    関西の無名大学が快進撃! 10年で「定員390人→1400人超」と規模拡大のワケ

  3. 8

    相撲は横綱だけにあらず…次期大関はアラサー三役陣「霧・栄・若」か、若手有望株「青・桜」か?

  4. 9

    「進次郎構文」コメ担当大臣就任で早くも炸裂…農水省職員「君は改革派? 保守派?」と聞かれ困惑

  5. 10

    “虫の王国”夢洲の生態系を大阪万博が破壊した…蚊に似たユスリカ大量発生の理由