著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

今いくよ・くるよさんが提案した打ち合わせは「テッチリしながらネタ考えましょ!」

公開日: 更新日:

「ありがたいことですよ。売れるまでは誰も見向きもしてくれへんかったのが、ああして声かけてくれはんねんから、応援してくれる人がいてへんかったら私らタダのオバちゃんふたりやねんさかい、ホンマに感謝せないかんわ」「ファンのみなさんのおかげいうのを忘れたあかんねぇ」としみじみ話されているのを聴きながら、ほんとにファンを大切に思ってらっしゃる方たちだと、あらためて実感しました。

 お宅は新大阪駅近く、マンションの隣同士で住んでおられ、どちらの部屋にお邪魔したのか覚えていませんが、20畳はありそうな広いリビングにはソファでなく、厚いじゅうたんの上にコタツを置いているのがおふたりらしく感じました。くるよさんが「うちが(鍋の)用意するさかい、まんはん(いくよさんの本名・正子さんの愛称)センセと考えといて」と手慣れた様子でカセットコンロと鍋を用意されました。

 なかなかない光景にうれしく思いながら、午前0時すぎ、だいたいの構成が固まったので「朝一でFAX流します」と失礼しようとすると、「ここで書いていってください。もしセンセ寝過ごしでもしたらえらいこっちゃもん。7時すぎの(新幹線)に乗って、東京着くまでに覚えなあかんねんから。仮眠しても襲わへんから、心配せんと!」と大笑いで居続けになり、午前3時すぎにネタを書き上げて読み合わせが終わりました。「長い間付き合わせてすいませんね。鍵預けとくさかい、ゆっくり寝て帰ってください」と言われるのを丁重にお断りして、タクシーを呼んでもらって帰りました。

 仕事の話とはいえ、仕事場となんら変わることのない、いくよ・くるよさんのお人柄にふれた貴重な経験でした。

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