古典落語「目黒のサンマ」のお殿様はマリー・アントワネット?
「サンマは目黒に限る」。古典落語、目黒のサンマのサゲで、これにちなんで先週末には目黒区でさんま祭りも開催されてました。ただ悲しいかなサゲの知名度ほど落語の本筋を知らない人が多いらしいので説明しておきますと、江戸当時は風光明媚な海からは距離のある目黒にやって来たお殿様が弁当を忘れたために農家の焼いていたサンマの塩焼きを食べたところあまりのおいしさに感激。お屋敷でも食べたがるものの下魚を食べることは許されず、そんななか希望を聞いてもらえる会食でサンマを希望。おもてなし側は下魚サンマの調理に蒸して脂を落とし小骨を取ってその身をつくね風のおわんに。食べてみたら脂の乗った焼きたてのサンマとは別物にがっかりしたお殿様が「このサンマ何れより取り寄せた?」「本場房州の」「それはいかん、サンマは目黒に限る」。
この噺のポイントは世間知らずのお殿様。戦乱の世から何百年経った生まれながらのお殿様。お屋敷ではタイの尾頭付きしか食べてないからサンマの存在すら知らないお殿様。サンマが目黒で取れると思ってるお殿様。つまりこの噺は「パンがなければケーキを食べればいいじゃないbyマリー・アントワネット」の日本版ですね。