俳優・仁科貴さん「気が付いたら、オヤジ(川谷拓三さん)が肺がんと診断された年齢に」

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演技は見るのとやるのでは大違い

 さて、名バイプレーヤーとして知られた川谷拓三さんの長男として、京都に生まれた仁科さんは、映画監督を夢見て明治大学文学部在学中から舞台の制作やラジオCMの仕事などを始め、95年に川谷さんが亡くなると、翌96年、本格的に俳優デビュー。朝ドラ「オードリー」や映画「化粧師」に出演し注目された。

「オヤジが亡くなる前は、オヤジの個人事務所のマネジャーもしていました。オヤジが亡くなり、これからどうしよう、と思っていたところ、俳優もやってみたら、とラジオCMのディレクターさんに声をかけていただきました。でも、演技は見るのとやるのでは大違い。『こんなにできないんだ』と愕然としました。オヤジだったらどう演じてたかな、とか試行錯誤しながらやってきました。演じるのは好きですけど、できない悔しさでここまで続けてきた、という感じです」

 映画「剱岳 点の記」「アウトレイジ 最終章」など映画中心に活動してきた。

「ボクもオヤジも映画が大好きで、一緒によく映画の話をしました。劇場にも一緒に行きましたよ。最初に連れて行ってくれたのは、小学校に上がる前の『グレートマジンガー』のアニメ映画。扉の外まで観客があふれ、オヤジが肩車をしてスクリーンを見せてくれたのを覚えています」

(取材・文=中野裕子)

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