「純烈」新メンバー岩永洋昭さん 家賃、奨学金の返済、単車ローン12万円「20代にはキツかった」

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風呂なしアパートで10年

 大学を卒業してモデルの仕事を続けるために上京したのは、日韓共催のW杯が行われた2002年。あの時は福岡と東京のあまりの違いに驚きの連続でした。とにかく家賃が高い。上京前に仕事で東京に来て、10日くらいいとこの家にいてアパートを探してみました。当時の僕の収入では住めないと思いましたね。結局、見つけたのは世田谷の5万1000円の風呂なし、駅から30秒のアパートです。ここは50平方メートルくらい、だだっ広かった。当時、僕はリノベーションするのが好きで風呂はなくても収納スペースがあること、月々2万円、7年ローンで買った単車ハーレーに乗っていて、屋根付き駐車場にタダで止めていいという条件がよかった。

 苦労したのはやはり風呂です。バーテンのバイトを始めたので、夜が遅い。銭湯は12時に閉まるので入れない。それで戸越と学芸大に住んでいたいとこの部屋のお風呂を借りてから帰っていました。家にいる時は外にある給湯器のところをカーテンで囲ってお湯を出してバシャバシャと体を洗ったり、頭は台所のシンクにお湯をためてそこに突っ込んで洗っていました。

 バイトはバーテンの仕事の他に、銀座のフェラガモのブティックのドアボーイをやりました。ブランドの店はフェラガモのように、モデル事務所に募集をかけることもあるのですが、僕らには都合がよかったです。オーディションの仕事が入ると、モデルどうしでシフトを変わってもらったりできましたから。時給は1800円くらい。ちなみに、バーテンの仕事は1200円くらい。夜9時以降は何%アップといった条件でした。アルコールは飲んでよくて、いわば現物支給(笑)。

 生活が苦しいということはなかったけど、月々の支払いは結構、大変でした。大学では奨学金をもらっていたので、卒業してから月4万2000円返済していたし、ハーレーの2万円、それから家賃とそれだけで12万円くらい。20代の若者にはキツかったです。

■同時に届いた仮面ライダー合格の連絡と母からの完済メール

 30歳の時、仮面ライダーに合格したとマネジャーから連絡があったのと同時に、母親から奨学金の返済が終わったというメールが届いたのですが、あの時のホッとした気持ちは今も忘れることができません。

 テレビ東京系で放送されていた「トミカヒーロー レスキューフォース」のレギュラーが最初。仮面ライダーは「オーズ/000」の伊達明役です。それから東映のメタルヒーローものの主演や、2.5次元のアニメ原作にも出演していました。実入りがよかったのはそれらの舞台ですね。1ステージいくらで20、30公演ぐらいあったのと、作品によってはグッズ収入の一部をもらえたので。ただ、当時の事務所は完全歩合制だったので、バイトをやりながらです。そろそろ考えた方がいいかなと思うようになりました。

 ちょうど、その頃のことです。アパートの隣は2階建ての一軒家だったのですが、1階の僕の部屋が2階から丸見えでした。ある日、出かけようとして隣をのぞいたら、家族でテレビを見ているのが「オーズ」だった。ヤバイと思いましたね(笑)。でも、そのままやり過ごしていたのですが、そのうちパパとママと息子さんが「サインください」って。もうバレてる、引っ越すしかないというので、目黒に移りました。

 そこは家賃が7万5000円でしたが、風呂ありです。部屋にいながらにしてお湯が出る。当たり前のことかもしれませんが、本当にありがたかったですね。そこには5年くらい住んで、今は東京に出てきて3つ目の家です。

 目黒に移ってから35歳で今の事務所に替わりました。事務所の社長と知り合う機会があって、純烈のマネジャーとも顔なじみだった縁です。僕は純烈とは違う俳優部だったのですが、マネジャーに飲みに連れてってもらったり、社長と3人で飲みながら、「岩永、純烈に入る決心がそろそろできたか」と言われた時は、「いやいや、僕なんか、とても」と言っていたのですが。ただ、小田井さんが卒業されるちょっと前くらいに、マネジャーに「本気で考えているんだけど」と言われ、悩みましたね。

 でも、これまでモデル、ライダー、俳優をやってきたけど、くすぶっていたし、この世界は顔と名前を売らないとどうしようもないことは痛感していましたからね。そんな時に紅白に5年連続出場している純烈に入れてもらえるのはとてもありがたい話です。このチャンスを生かそうと決心し、お願いしました。

■やっぱり紅白

 純烈に入って「徹子の部屋」「情熱大陸」「ダウンタウンDX」とか出たことのない番組に出演したり、音楽番組、ホテルのディナーショー、温泉の宴会場と目が回るような毎日です。がむしゃらに一生懸命やるだけですが、やっぱり紅白ですよね。最後は神のみぞ知るですが、僕になってダメとは絶対に言わせたくありません!

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

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