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原田曜平マーケティングアナリスト・信州大学特任教授

1977年、東京都生まれ。マーケティングアナリスト。慶大商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーなどを経て、独立。2003年度JAAA広告賞・新人部門賞受賞。「マイルドヤンキー」「さとり世代」「女子力男子」など若者消費を象徴するキーワードを広めた若者研究の第一人者。「若者わからん!」「Z世代」など著書多数。20年12月から信州大特任教授。

CM「寛容ラップ」呂布カルマ「ヒップホップは免罪符になってしまう。だから言い訳にしない」

公開日: 更新日:

「わからんもんはわからん!」と言ったほうが潔い

原田 あと、呂布さんといえば、昨年夏から放送されているACジャパン(旧公共広告機構)の「寛容ラップ」のCMが話題になりました。反響も大きかった?

呂布 思った以上ですね。公開されたのが7月1日からだったんですけど、すぐに安倍晋三さんの事件や携帯の通信障害があって、CMの差し替えでACジャパンのCMがたくさん流れたんですよね。僕はこのCMが公開されて、実はちょっと受け入れられるか不安だったんですけど、好感度が爆上がりして驚きました。

原田 その後、「マッドマックスTV論破王」(ABEMA)でのひろゆきさんとのディベート対決でも注目を浴びてましたが、それは想定内?

呂布 たまたまですよ。ディベート自体はこの番組が初めてでしたし、MCバトルで口が達者だったから声がかかったんでしょうけど、それがたまたまいい結果になっただけです。まったく想定はしていなかったですね。ひろゆきさんはもちろん弁が立つし、サービス精神もありますよね。わざと角が立ちそうなことを言ってくれるじゃないですか。

■コワモテは損か得か

原田 ひろゆきさんとのディベートは「強面は損をするか、得をするか」というテーマで、呂布さんは「強面のほうが得をする」立場でしたよね。ひろゆきさんのことを「最初からヘラヘラしているのは詐欺師だ」って言っていましたけど、面白かったです。普段の呂布さんは強面の立場だと思うんですが、今日はサングラスもせず髪も下ろしているので、だいぶ柔らかいイメージですね。

呂布 今日は二日酔いで疲弊しているんで(笑)。強面の損得の話ですが、損はあると思うんですよ。最初に見た目が受け付けないと怖がられるのは、まだ関係性がない状態なので、“始まらない損”だと思うんです。だから、自分はわからないですよね。この見た目じゃなかったら始まっていたかもしれないという話なので、自分ではわからない。ですけど、こんな見た目で知り合ったけど関係性ができてきたら、得のほうが実感しやすいですよね。

原田 僕も坊主頭でひげ面で多少コワモテなので、わかりますね(笑)。もともと僕は天然パーマでガリ勉でクソ真面目な自分が嫌だったんですね。大学4年のときに就職が決まったので、坊主にしてひげを生やしたんです。そしたら、一気に周りからの接し方が変わったというか、今まで交流できなかったチャラチャラした人とも交流しやすくなったりはしました。呂布さんは、今後のラップ業界をこうしていきたいみたいな野望はあるんですか?

呂布 いや、ないですね。そもそもラップって若い人のものなんですよ。僕がラップを始めたときも、40代のラッパーなんて想定していなかったし、いなかったですから。

原田 世代間ギャップも感じます?

呂布 めちゃくちゃ感じますよ。僕より20歳くらい若いヤツらが面白いと思っていることが正直わからないし、面白いと思わないですから。無理してわかろうとも思わないですけどね。ラップのスタイルも時代とともにどんどん移り変わっていくんです。内省的なラップがはやったら、超バカでわかりやすいものがはやって、そしたらまた小難しいものがはやってと、カウンターが続く。僕は小難しいところに面白さを感じて今もやっているのですが、今はバカなのがはやって、またちょっと次のターンに入っている感じです。普通のことなのかもしれませんが、そこは自分がもう通り過ぎたなって思いますね。今のメインストリームのラップを理解して勉強したほうがいいなと思った時期もあったんですけど、「勉強しなきゃ」と言っている時点でちょっと違うなと。「わからんもんはわからん!」と言ったほうが潔いなと思っています。

原田 すみません、素人でもわかるように言うと、“バカな感じ”というのはどういう?

呂布 酒、女、仲間、ドラッグみたいな感じですかね。僕たちが若いときにも、そういうことを堂々と言う面白さも当然あったのですが、僕くらいの年齢になると通過しちゃっていますね。

原田 なるほど。

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