著者のコラム一覧
原田曜平マーケティングアナリスト・信州大学特任教授

1977年、東京都生まれ。マーケティングアナリスト。慶大商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーなどを経て、独立。2003年度JAAA広告賞・新人部門賞受賞。「マイルドヤンキー」「さとり世代」「女子力男子」など若者消費を象徴するキーワードを広めた若者研究の第一人者。「若者わからん!」「Z世代」など著書多数。20年12月から信州大特任教授。

CM「寛容ラップ」呂布カルマ「ヒップホップは免罪符になってしまう。だから言い訳にしない」

公開日: 更新日:

第14回 呂布カルマ(ラッパー)

 カリスマ的人気を誇るラッパーの呂布カルマ(40)は、若者世代のみならず、昨年から放送のACジャパン「寛容ラップ」CMは評判を呼び、知名度は中高年の間でもグンとアップ。コワモテの見た目で舌鋒鋭く迫るだけでなく、しなやかなリリックで若者たちを魅了するラップの原点と秘訣を訊く!

  ◇  ◇  ◇

原田曜平(以下=原田) 呂布さんは名古屋芸術大学を卒業されているんですね。芸大卒のラッパーって珍しいですよね。

呂布カルマ(同=呂布) 東大出身のダースレイダーさんや慶応卒のKREVAさんなど高学歴なラッパーもいますが、確かに芸大卒は珍しいかもしれません。僕は漫画家を目指していたので大学時代はずっと絵を描いていました。

原田 漫画はお好きだったんですか?

呂布 漫画は好きでしたし、たくさん読んでいました。特に新井英樹の「ザ・ワールド・イズ・マイン」や「キーチ!!」などの作品が好きです。今も年に何作品かはまとめ買いしますが、継続的に読んでいる漫画はありません。今僕は40歳ですが、どんな作品にも対象年齢があると思っていて、今では週刊ヤング〇〇でさえ、ちょっと幼稚だなと思っちゃいます。「鬼滅の刃」がはやったときも、大人が無理して絶賛していましたが、何が面白いのか全然わからなかった。

原田 若い子たちが夢中になっている漫画って、読んでみても面白さがわからないことってありますよね。

呂布 大人たちは無理してわかろうとするじゃないですか。でも、僕はわからないものはわからない、幼稚なものは幼稚って言おうと思っています。

■「昼間はどんな仕事?」「薬を運んでます」

原田 漫画家を目指すのをやめて、ラップを始めたのは大学卒業後ですか?

呂布 正確にいうと大学4年からですが、フリーターをしながらラップを始めて、クラブに通い始めました。ただ、就職もしているんですよ。最初は薬の卸の会社で、病院に薬を運ぶ配送の仕事をしながらラップをやっていました。夜のクラブで「昼間はどんな仕事をしているの?」と聞かれたときに「薬を運んでます」と言うと、ウケがよかったですね(笑)。その後、1年くらい学習塾の教室長の仕事をして、32~33歳から音楽一本で暮らせるようになったっていう感じです。

原田 ずっと名古屋ですか?

呂布 家族もいるし、家も名古屋にあるし、名古屋から出る理由があまりないかなと思っています。僕が今20代だったら東京に出てきているかもしれませんが、今更出ようとは思わないですね。

原田 たしかに名古屋-東京間なんて、新幹線で1時間半ですもんね。でも、呂布さんは意外と堅実ですね。ラッパーなのにというと失礼ですが。

呂布 いえいえ、特に名古屋のラッパーは正業を持っていてラップをやっている人がほとんどです。もちろん堅実じゃないヤツもいるんですけど、捕まっちゃったりするからいなくなっちゃう(笑)。だから、ちゃんとしているヤツが残るんですよ。

原田 僕は若者研究をしていますが、今の若者のラップ人気のきっかけは、即興ラップバトル番組「フリースタイルダンジョン」かなと思います。2015年から放送されていて、7~8年前からラップの真似事をする大学生が増えたなぁと思います。呂布さんも2代目、3代目モンスターですもんね。

呂布 僕も2017年から「フリースタイルダンジョン」に出演させていただいたので、モロにその恩恵にあずかりました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド