クロちゃん、ナダル、鈴木もぐら…秋の番組改編で「クズ芸人」が大躍進のなぜ

公開日: 更新日:

 今なぜ“クズ”であるはずの芸人が支持されるのか。その主な理由として、コンプライアンス重視が叫ばれるテレビ界との関係性が挙げられる。BPOが“痛みを伴う笑い”を問題視する中で、罰ゲームやドッキリ企画は以前のように安易にはできなくなった。

■テレビ規制の網をかいくぐる

 そんな中で、「クズ芸人たちが制裁を受ける」という構図はいじめを連想させにくい。加えて、番組上の演出が一歩間違えば“やらせ”だと叩かれる時代、「やらせなら暴露するはず」というクズ芸人ゆえの信頼感すらある。

 ギャンブル癖や借金癖、悪態などをとがめられても、反省するどころか「自分は正当である」とご高説を垂れるため人格者とは程遠いイメージだ。

 ただ、だからこそマジメな一面が垣間見えた時のギャップが大きく、好感度も上がりやすい。

 つまり、多くの視聴者にとって「自分とは違う人」という程よい距離感があり、仲間意識を持つ者、不可解な言動に興味を抱く者からは支持される。ドッキリを受ければ「自業自得」、奔放な言動には「嘘がない」。規制が厳しくなったテレビ界の網の目も見事にかいくぐっている。

 妙な話だが、クズ芸人は今のバラエティーにもっとも必要とされる奇跡的な芸風なのだろう。

(鈴木旭/お笑い研究家)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    メッキ剥がれた石丸旋風…「女こども」発言に批判殺到!選挙中に実像を封印した大手メディアの罪

  2. 2

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  3. 3

    都知事選敗北の蓮舫氏が苦しい胸中を吐露 「水に落ちた犬は打て」とばかり叩くテレビ報道の醜悪

  4. 4

    東国原英夫氏は大絶賛から手のひら返し…石丸伸二氏"バッシング"を安芸高田市長時代からの支持者はどう見る?

  5. 5

    都知事選落選の蓮舫氏を「集団いじめ」…TVメディアの執拗なバッシングはいつまで続く

  1. 6

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  3. 8

    ソフトバンク「格差トレード」断行の真意 高卒ドラ3を放出、29歳育成選手を獲ったワケ

  4. 9

    “卓球の女王”石川佳純をどう育てたのか…父親の公久さん「怒ったことは一度もありません」

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方