年明けから大物芸能人2人の訃報が…中村メイコさんと八代亜紀さんを追悼する
八代亜紀さん(享年73)はコロナ騒動がまだ半ばにも達していなかった20年暮れにギャラリーのあるご自宅で話をうかがった。コンサートは3月から9月まで全部飛んでしまったという。そんな中でもふくよかな笑みを絶やさず、半生を振り返ってくれた。
最初のヒット曲「なみだ恋」の誕生秘話。当時八代さんは作曲家の鈴木淳宅に居候し、曲ができるのを待ち続けた。夜中の2時か3時、階下からピアノの音が響き、鈴木と夫人で作詞家の悠木圭子の会話が聞こえてくる。「呼んでおいで」と鈴木、「もう寝てるわよ」と悠木は言いながら「起きてる? 曲ができたんだけど」と呼びに来た。
「あの曲がなかったら……鈴木先生は『音楽の父』です」
阿久悠が作詞した「舟唄」が79年に大ヒットする。
「『舟唄』を見た時に、これは大ヒットするなと思いました。日本人の心をわしづかみするんじゃないかな。阿久先生にはうれしい言葉もいただきました。『俺は八代亜紀に出会うために9年間、助走をつけてきたんだ』とおっしゃって。この言葉は私の宝物です」
阿久悠は35周年記念のステージにお祝いにかけつけた。その際、「私が描いた油絵の肖像画をプレゼントさせていただきました」。
紅白には23回出場。79年と80年は大トリを務めた。79年は「舟唄」、80年は「雨の慕情」を歌った。トリは2年とも五木ひろし。
「歌謡界が爆発していた時代の『五八戦争』ですね」
合掌
(峯田淳/日刊ゲンダイ)