「めざましテレビ」などで活躍した西田美歩さんは“介護タレント”に…きっかけは入籍と不妊治療
実家近くのマンションに夫とネコ2匹と暮らす
介護といえば、キツくて、報酬が低く敬遠されがちなイメージ。報酬は確かに「最低時給より少し高いくらい」だそうだが、キツくて耐えがたいとは感じないという。
「入浴介助が肉体的に大変だったり、感情のコントロールが難しい方が勘違いから怒ったり、ということはあります。でも、中学の頃から芸能界で働いていた私にとっては、あんまりキツイとは感じません。芸能界は個性豊かな人の集まりで、“何でもあり”な世界ですから(笑)。それに比べ、高齢の方は私の知らない地域の歴史や、お花などの自然、戦争の実体験……いろんなことを教えてくれます。ケアをしながら、私の毎日も豊かに、楽しくなったと感じています」
タレント業と介護の仕事は「似ている」とも感じるのだとか。
「大変なときでも笑顔で乗り切ったり、自分が間違ってない、と思ってもとりあえず謝ったり。大勢の利用者さんの前で、大きな声を出しながらの体操指導などは、人前で何かを伝えるという、タレント業で培ったスキルが生きています。そして感謝してもらえるので、自分が満たされるんです」
この3月には介護福祉士の資格を取得、4月に芸能事務所を退社。より介護に注力し、さまざまな介護の現場で経験を積み、知識・技術を身につけていきたいという。
残念ながら、不妊治療は3年前に卒業。
「4年以上はガッツリやったので、やりきった、と思えてスパッと気持ちを切り替えました。6歳年上のダンナとは、28歳の頃に友人の誕生日会で知り合いました。友人と2人で自動車板金塗装工場を営む職人で、見た目は男っぽくて、中身は優しい人。私が何をやっても味方でいてくれるんです。テレビも舞台も全部見てくれて、フリーになってからは仕事選びの助言をくれたりもしますね」
趣味の釣りなども共に楽しむ。
さて、東京・大田区生まれの西田さんは、中学1年のときエキストラ事務所に応募。CMなどの仕事を始め、17歳のとき、講談社ミスマガジン選考事務局主催のミスコン「ミスマガジン2003」で読者特別賞を受賞しグラビアアイドルとしてデビューした。
06年から「めざましテレビ」リポーター、09年からは「おもいッきりPON!」などのお天気お姉さんとして、朝の情報番組で活躍。
「子どもの頃からひょうきんな性格で、周りの人を笑顔にしたい、と芸能活動を始めました。直後に、母が重度のうつ病になり家事ができなくなって、夜中に暴れたり家出したり……。私は学校にキチンと通えなくなり、うじがわいたキッチンを片付けたりしていました。今でいうヤングケアラーでしたね。そんななかでの芸能界のお仕事は、現実を忘れさせてくれました。これからは介護タレントとして、もっと有名になりたいです(笑)」
現在、母親の状態はだいぶん落ち着いているそう。
西田さんは実家近くのマンションに、夫とネコ2匹と暮らす。
(取材・文=中野裕子)