綺麗ごと抜きで…絶望を知るから増すアインシュタイン・河井の夢を追うことへの説得力
だが、過労のため倒れ救急車で運ばれたことをきっかけに芸人になった。そんな河井にコンビ結成を持ちかけたのは相方の稲田直樹の方だった。最初は断った。吉本の社員から「(注=稲田の)見た目がテレビ的にはNG…うーん、もしくは…ギリギリNGかな…」(株式会社CAM「新R25」21年7月1日)と言われたからだ。
それでも“お試し”的に組むと、稲田の遅刻ばかりする、だらしない性格に悩まされた。「お前の遅刻で仕事がなくなったら、俺が実家に送る金を補填してくれるのか?」と仲が悪くなるかもしれなくても、叱り続けた。「いっしょに仕事して何かを目指す以上、お互いの人生には責任がある」(同前)と考えたからだ。
河井はまだテレビに出ていなかった頃から、3年後に東京に行くと決め、逆算して年間計画を立てた。「いつも先を見て計画を考えているのは、子どものときから考えざるを得ない環境だったことが大きいかも」(「AERA」=前出)と。
いまでは、児童養護施設への寄付やボランティアを積極的に行っている。河井は言う。「綺麗ごと抜きで夢は追ってほしいなと思います。夢から逆算して、じゃあ今は何をしたらいいか、3年後、5年後どうなってたらいいのか、やりようはなんぼでもある」(講談社「mi-mollet」23年7月6日)。
その言葉は河井が言うからこそ説得力がある。